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こないだはm嬢がお人形のことのことを書いていたので、きょうはぼくが音楽のことを書きます。ここ数年この時期は、あるサイトに個人的なベスト10(対象は、その年購入したCDなど音楽が主ですが、実際はなんでも可)をコメントと共に提供しています。以下はそのサイトに送った、ぼくの2005年度のエントリー。順不同:
-- 1. 引っ越し 引っ越しオバサンのことゲラゲラ笑ってたら、じぶんちが引っ越しすることになりました。郊外の住宅地。ヨコハマやカワサキの北っかわ、ようするに東神奈川の北側なんて、むかしはなんにもないイメージがあったのか、「あんなとこまえは山だったでしょ」と母によくそう言われる、そんな場所にある、少々古い住宅地です。いまは山ばかりのなにもないところではありません。電車も通ってますし、ちょっと行けばマルイも高島屋もとうきゅうストアだってあります。でもやっぱり家が建っているのは小高い山の上なので、寒すぎて暖房が効かないわ、なもんで、ヒーターやらエアコンやらつけすぎてブレーカーが落ちまくるわ、雪の次の日は家の前の坂道は凍るわ、と、以前の住まいがあった海抜0メーター地点では考えられなかったさまざまなことを体験しました。どこへ行くにも遠いので、クルマも購入。日々の買物は、そのクルマで少しはなれた場所のスーパーや、郊外型と言われているような大型ホームセンターへ。さらに、鳴き声もさほど気にならないような環境なので、犬も飼いはじめる。散歩に連れ出し、同じように犬を連れたひとと出会えばたちどまり、そこで犬の話や、世間話のひとつでもする。気がつけば、典型的な郊外生活者に。生活パターンがかなり変わりました。 2. 犬を飼う 犬が家のなかにいるのは2度目、23年ぶりぐらいです。その23年のあいだは猫とのかかわりあいのほうが多かったです。犬派/猫派、なんてことで言うならば、ぼくはこの23年間、完璧に猫派でした。それがビーグルの子犬を飼いはじめる。犬はうちに来て4ヶ月ぐらいになりますが、良きにつけ悪しきにつけ、犬は猫とは違うのだということを(あらためて)思い知らされた4ヶ月でした。猫は放っておいても育つけど、犬はそういうわけにはいかない。毎日振り回されています。日に日にかわいくなります。 3. Vodka Collins / Boy's Life 結局はアランと大口ひろしがいれば、ウオッカ・コリンズということらしい。マークとミッキーのティラノザウルス・レックスみたいなもんでしょうか。1998年に出された、ウオッカ・コリンズ名義の(おそらく)4枚目のアルバム。80/90年代のスタジオ+ライブ。プライベート盤、なのだそう。まえから持っていたものですが、引っ越し騒ぎで「発掘」。去年はよく聴きました。とてもオトナのロック。なんてことないジミなアルバムです。この世の中になくてもだれも困ることなんてないでしょう。でも、どこかでだれかが書いてたか言ってたかしていましたが、アラン・メリルの書く曲にハズレなし。ぼくもそう思います。それはこのレコードにおさめられている曲にももちろん言えることです。アランの声もギターもすばらしくいい。 4. Chimera / Chimera バンドに限ったことではないかもしれないけれど、考えてみれば、ロックバンドなんてモノはキメラ以外のなにものでもないのかもしれません。 だからといって、彼女たちがそれをわかっていてこういう名前をじぶんたちにつけたのかどうかは知りませんが。このグループの音は、過去、複数の英サイケデリック、フォーク系のコンピレーションで何度か耳にしたことがあります。そのときはそんなに印象に残らなかった。購入したレコ屋のポップによると、1967から1970年にかけて録音されたものの、リリースされなかった幻のアルバム、ということらしいです。1曲目の「come into the garden」で「庭」(吉祥寺のあのお店のことではありません)に飛ばされます。その曲をはじめ、佳曲が多いのですが、全体的には錬って作り上げられたアルバムというより、ベスト盤や、レア・トラック集を聴いたときのような寄せ集め感を強く感じます。それでも、それだからか、なにかほかのことをしているときにバックで流すのに最適で、重宝しました。 5. Ike & Tina Turner / River Deep Mountain High おそらくここ10年ぐらいは1度も顧みられることがなかったアルバム。引っ越しのゴタゴタで「発見」。初っ端の「River Deep Mountain High」を聴いているときに感じるほどの高揚感をもたらしてくれる曲なんて、そうないです。これはでもアイク・ターナーというより、プロデューサーのフィル・スペクターがエライ。関係のないはなしですが、アイク・ターナーって、ティナ・ターナーと夫婦だったとき、殴るは蹴るはのひどいDV夫だったらしい。ぼくはエースレコーズから出されている『Ike's Instrumentals: Ike & His Kings of Rhythm』を2003年の年末に聴いたときに、さもありなん、と思った。 6. Marianne Faithfll / Greatest hits これも去年の夏に実家で「発見」。こどものころに買ったレコードなので、よさがわからなかったらしい。おさめられている曲すべてがほんとうにグレーテストヒットなのかどうかは知りません。マリアンヌ・フェイスフルのレコードだからそう感じるのかもしれませんが、よく売れないロックバンドが、半ば自嘲ぎみに『○○ズ・グレーテスト・ヒッツ』なんて名で出してる、どうでもいいような曲ばっかり入ったアルバムを思わせてしかたがない。この作品は、聴けば素晴らしい歌ばかりなので、グレートにヒットした曲であろうがなかろおうが、そんなことはほんとうにどうでもよいのですが。それにしても「Sister Morphine」でシメって。イロモノ、なのでしょうね、かの女ってやはり。蛇足:「As Tears Go By」「Monday Monday」「Yesterday」などのカバー曲も多数収録されているこのアルバム、今回聴いていて思ったのは、カバー曲を歌うマリアンヌ・フェイスフルはNICOと同じく、良くも悪くも元歌をぶちこわしにする歌手だということ。 7. Annette Peacock / the AURA YEARS 1978-1982 かの女に対する個人的なイメージをひとことでいうと、素頓狂、ヒステリー。ベース弾きのゲイリー・ピーコックのもとワイフ。のちピアノ弾きのポール・ブレイとくっつく。いま知らん。調子のよかったときの2枚をカップリング=実質ベスト。去年リリース。見つけた瞬間、なんでこんなものが…と、レコ屋で絶句したシロモノ。どういうわけだか近ごろでは、アヴァンギャルド、なんて気取ったフランス語を耳にすると、まっ先にかの女のことを思い出すようになった。 8. Chrome / Half Machine Lip Moves + Alien Soundtracks ケロシンとモーターオイルとニトロのにおいと、SUキャブレターのゲトゲトいう音、がする。イカレた音のレコードを教えてくれ、ときかれたならば、いつでもこれを差し出す用意があるのですが、そういう機会はいままであったことはありません。とてもわかりやすい、アメリカン・サイコの見本のような音。やっと「名盤」として定着してきたのか、あちこちでこのアルバム自体や、アルバムのことを書いたテキストをみかける気がする(気のせいかな)。そこいらのレコ屋でレギュラーで売られているクロームのアルバムって、いまではこれと黒いハコにはいったベスト(?)ぐらいですね。超がつくような駄作も非常に多い、っていうか駄作ばっかりかもしれないクロームの作品群のなかで、比較的評判のよい2枚のアルバムを1枚のCDにしたもの。またクルマに乗りはじめたのを期に、カーステで聴くようになった。でも渋滞のノロノロ道にクロームだと、ちがうだろ、という感じがしますね。キチガイみたいにスピードだしてる客無しタクシーと明らかに過積載だろそれ、なトラックしか走っていない、深夜のオレンジ一色の246とかに合います。それも厚木あたりかな。どうでもいいことですが、個人的にはこのバンドのフロントマン、ヘリオス・クリードとダモン・エッジには、冷静に、まったくシラフでとてつもなくひどいことをするひとたち、というイメージが大昔からあります。 9. Miles Davis / Kind Of Blue センスのよいひとは、老若男女問わず大好きです。だから、マイルス・ディビスは好きです。クルマにふたたび日常的に乗るようになって、よいよいと皆が言うところのマイルス、いやズージャ「究極の名盤」、『カインド・オブ・ブルー』のよさがやっとわかるようになりました。前に乗っていたクルマは静粛性とかいうものとはまったく関係のないシロモノで、いったんモーターをまわすと、オフにするまでゲチョゲチョバタバタというような、エンジンルームからの大きな賑やかな音が中まで聞こえていて、だからそんなクルマで聴くのはデカい音でロック。『カインド・オブ・ブルー』なんていうアルバムの繊細な音はまったく聞こえません。でも家のなかでステレオを前にして聴いてもあんまりピンとこないレコードだし。なもので、いままでそんなにいい作品だと思ったことがなかった。今のクルマは静粛性という意味では、乗っていて静かだなーっと感心するほどではないものの、前のクルマよりはよっぽど静かです。で、買った当初は、テストということで家のCDをそのまま、あるいはiPodに詰めていろいろとっかえひっかえ持ち込んでみました…。結果、クルマのなかでいちばん聴いているのは『カインド・オブ・ブルー』です。激情型フリージャズや、お勉強型の実験性の高い音はもう受け付けないので(体力がなくなった、ともいう)、こういうなんというか、ええとスタンダードっていうんですか? とにかくふつーの音がここ何年ものお気に入りなのではありますが、それにしても意外だったなー。そんなこと考えたことありませんでしたが、音を聴くスペース、という観点からしてもクルマを選ぶというのは大切なのかもしれません。 10. Miles Davis / A Tribute To Jack Johnson うるさいクルマでもエレクトリック期のマイルスは聴ける。『ゲット・アップ・ウイズ・イット』『アガルタ』や『パンゲア』などと並んで当時のクルマに積みっぱなしになっていたのがコレ。クルマをかえたらデッドの『Live/Dead』はレギュラーから落ちてしまいましたが、コレはレギュラーの座を保ったままです。家ではやはりほとんど聴きません。逆にエレクトリックマイルス期の有名どこでも、『イン・ア・サイレント・ウェイ』、『ビッチズ・ブリュー』や、『オン・ザ・コーナー』なんかはぜったいにクルマの中では聴き(/け)ませんね。聴いてしまって、運転どころではなくなりますから。名盤扱いされていますが、個人的にはそうでもないかな。クルマをゆっくりめで転がしながら、それなりのボリュームで聴くにはうってつけ。 番外 Derek & the Dominos / Layla And Other Assorted Love Songs センスのよいひとは、老若男女問わず大好きです。だから、マーティン・スコセッシは好きです。マーティン・スコセッシが持っている、音楽への嗅覚は信頼できます。かれが撮った『グッド・フェローズ』という映画があります。そのなかで、大きな肉塊といっしょに吊るされた、凍ったギャングの死体を写した、肉屋の冷凍庫のシーンがあります。それのバックに流れているのが「レイラ」の後半部分のピアノ。殺伐とした映像に、とってもきれいな音楽、と(まさに)絵に描いたようなミスマッチ。映画は公開された直後にいちど観たっきりですが、いまでも「レイラ」のピアノとギターを聴くと、エリック・クラプトンと、ジョージ・ハリスンの女房がどうしたこうしたとか、あるいは柳ジョージとかのことよりも、スコセッシのあの映画の冷凍庫のシーンがあたまで再生されはじめます。前置きが長かった。いわゆるレイドバック時代のエリック・クラプトンとオールマンBros.のデュアン・オールマンのグループのアルバム。名盤認定はそこかしこでなされているので、内容については書きません。こんなかったるい音楽きいてられるかっ!と、血の気の多い時期に手放してしまった、数多いかったるいアルバムのうちの1枚ですが、買いなおしました。かったるい音ですが、高速で定速巡行、なんて場合に意外に合う。 気管支系統が弱く、こどものころは、ぜんそくと鼻炎持ち。ぜんそくは小学校かよってる時分に治ったけれど、鼻はまったくよくならない。それどころか歳をとるごとに悪くなっているんじゃないか、これ。鼻づまりの症状がひどく、点鼻薬をひとつきに1本のペースで消費する生活をするようなって、いったい何年になるんだろう? 家に強盗でも入って、よくきくようにかれらにビニールテープで顔をぐるぐる巻きにされ、そのまま数時間でも放置、なんてことにでもなろうものなら確実に死にます。また、まったくにおいがしないときもあるので、ガスもれで爆発の危機なんてものがあっても、わからないかもしれない。いずれにせよ鼻づまりで死にました!なんてイヤすぎる、それ。 自分がもっているもので、多少なりともよいもの、誇れる(オーイェー)ものがあるとすれば、それは耳でしょうか。何キロも離れた場所の音が拾えるだとか、超音波が聞こえるとか、はたまた絶対音感があるだとかの、そういう意味での「耳のよさ」ではなくって、ただ音楽を聴くためだけの耳。抽象的な物言いになりますが、「よい音楽」と「悪い音楽」、「ほんものの音楽」と「ニセモノの音楽」が「わかる」。自分で書いててもなんのことやらさっぱりわかりませんが、そゆこと。この耳には絶対の信頼を置いています。鼻が悪いぶん耳がいいのだとしたら、悲劇だなー。いや、鼻じゃなく、アタマが悪いぶん耳がよかったりして…。いやいやそんなこと考え出すと、あそこも悪いし、ここも悪い。○○○だって悪いし…、××××なんてもっと悪いぞ…。 文責:Perkyことvicke
by perky_pat
| 2006-02-15 00:06
| 音楽
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